第18回妖怪絵札は前回の二口女とうって変わって超マイナー妖怪、首吊り狸です。
なんだかぶっそうな名前な狸なわけですが、自ら首をつるわけではなくて、厳密には「首つらせ狸」といった方が正しいです。
特定の場所に出る妖怪で、巧みに人を誘い出し、首吊りさせるのだそうです。なので、そこの村の人は首吊り狸の出る場所には近づかないようにするのだとか。村の名前は忘れちゃった。
こういう自殺させる妖怪には他にも縊れ鬼というのがいて、コイツは川へ飛び込み自殺する「約束」を人間にさせる妖怪です。
縊れ鬼の『くびれ』とはあのセクシーなくびれではなく、『くびる』という意味のくびれです。
川を見ていてなんとなく飛び込んで死んでみたくなる気持ちはこの妖怪のせいといいます。
首吊り狸の出る村の名前はちょっと忘れてしまいましたが、これは四国の妖怪です。四国は狸の本場で、妖怪=狸の図式が出来ています。
坊主狸、蚊帳吊り狸、衝立狸…。他の場所では別の名のある妖怪も、四国ではその正体が全て狸ということになっています。
上に挙げた蚊帳吊り狸と衝立たぬきはぬりかべ系統の妖怪です。
まず蚊帳吊りを紹介すると、夜道を歩いていると突然蚊帳があってとうせんぼしている。通れないので仕方なくそれをめくって行こうとするもまた蚊帳があらわれて、めくってもめくっても出ることが出来ない。戻ろうとしても同じ。というもの。
衝立狸はぬりかべと全く同じで、夜道をあるいていると壁があらわれ、押しても引いても前に進めなくなってしまうというもの。
どちらも狸そのものは出てこないのだけど、狸の仕業ということになっています。
これらは解決法もぬりかべと全く同じで、蚊帳吊りの場合は焦らず下っ腹(丹田)に力をこめて蚊帳をめくって進んでいくと、36枚目に抜け出すことが出来、衝立の場合はぬりかべとこれも全く同様に、気持ちを落ち着け、壁の下のほうに力を込めて押すと消えてしまうというもの。
他にも四国には坊主狸というのがいて、徳島にある坊主橋というのの近くの藪を夜に通ると、いつの間にか髪の毛を剃られて坊主にされてしまうというもの。
これなんかは女の人の被害はキツイけど、野球部員の御用達になりそうな狸さんですね。
首吊り狸はかんべんな。 (by某チームコングさん)
妖怪の系譜は全国調べると面白いもので、正体だの話のパターンが微妙に違うにせよ名前は複数あるにせよ、いくつか共通項のある妖怪(というか現象)が各地にあって興味深いです。
坊主狸のような髪の毛を切ってしまう妖怪は他にもかみきりだの黒髪切りだのというのもいます(これらは人間が人間以外のものと婚姻を結ぶと現れその人の髪の毛を切るといいます)
こういう全国的な共通項は、単に話が有名で全国を駆け巡ったと考えるのも一つだけど、当時各地で同じようなことが起こっていたのかも知れないなとも空想できると思います。
完全に物語の形で共通項のある、のっぺらぼう系列のお話(朱の盆とか、「それはこんな顔ですか?」のエンドレスなやつ)は、話が流行って色々派生したものなんだろうなと思うのですけどね。
話はちょっと違うけど、最近大量のオタマジャクシが降るという事件があり話題になりましたよね。
実はこの生き物降ってくる現象は昔からありますが、その原因は未だにはっきりしていないそうです。よく竜巻原因説を聞きますが、妙なのはこの生き物降ってくるシリーズは大体、降る生き物が一定の種類なんだということ。
今回はオタマジャクシでしたが、カエルや鮭の降ったこともあるのですが、もし竜巻が原因ならもっと様々な種類の生き物が降ってもよさそうなモンです。
一種類の生き物を選んで大量に降らせているとなるとこれは偶然というより選択されているように思えてなりません。人間の悪戯ってわけにもいかないだろうし、果たして鳥がやったとも思えないし。不思議としかいいようがないですね。
今回は石川県だったので狸の仕業ってことにはならないでしょうけど 笑、時代が時代だったらもっと面白く騒がれたでしょうね。
人間は科学的になってから何でも説明出来る気になっていますが、案外分からない事が多いもんです。
また、なんでもかんでも科学で説明するってのも、なんか野暮な気もしますよね。不思議は素敵だ。
とはいえ僕は科学技術の恩恵受けまくりの生活ですけどね 笑。
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