ツノウサギには、実は本来あとがきがありました。
文章も既に用意していたのですが、書き終えてから、「読後感を大事にしたいな」と思いカットすることにしました。
そういう経緯で、ここにあとがきを載せようと思います。
では、続きへどうぞ。
色々あって企画から一年以上かかってしまいましたが、ようやく世に出す事が出来ました。
描き始めの頃は不安も多く、キャラクターについても大丈夫かな?と思っていたのですが、今ではどのキャラクターにも愛着があります。
特にジャッカには描くうちにどんどん感情移入し、ラストの両親と帰っていくシーンは、描いていて不覚にも思わず涙が溢れてしまいました。とんだ親バカです。
ただ、そんな事は初めての経験だったので、自分の生み出したキャラクターの為に涙を流せたというだけでも、がんばってこの作品を形にした甲斐がありました。
『ツノウサギ』のストーリーは、個人的に落ち込んでいた時に閃いたものです。僕にとってジャッカの生き様を描くこと自体が、僕自身を鼓舞してくれるものでした。ジャッカは僕にとってもヒーローです。
そしてあわよくば、読んでくださった誰かにとっても、ジャッカがそんな存在になれたらいいなと思います。
最後に、この作品をなんとか世に出す為に奮闘して下さった編集担当の豊田夢太郎さんとIKKI編集部の皆さん、
装丁の葛西恵さん、
僕の家族と、
いつも一緒に遊んでくれる友達たち、
僕を取り巻く全てのジャンルの作品達、
そして、今本を手に取ってくれている貴方に感謝いたします。
そして改めて、ジャッカにありがとう。本当に君はよくがんばってくれた。
僕は君を一生忘れない。
それでは、いつかまたお会いできる日まで。
と、これがあらかじめ本の為に用意していたあとがきです。
発売して少し経ったのも含めて、あとがきをもう少し続けます。
そもそも正直に言うと、ツノウサギは連載用に準備していたのですが夢叶わなかった、いわゆる連載企画オチの作品です。
それを知らされた当時は(ネームの時点で描いていて楽しかったので尚更)落ち込みましたし、少し心がぐれそうにもなりましたが、今は僕なりに納得しているし、制限は出来たものの、その中では精一杯、出来る限りの力で描き切れたと思っています。
それにおちた企画を世に出せるよう努めてくれた編集さんにとても感謝しています。
普通はボツになったらそれまでです。
それに、細かいエピソードは削らざるを得ない状況になりましたが、最初の通りのプロットで描けたので良かったです。プロットの取捨選択が必要と知った時はできっかなーと凄い焦りました 笑。
因みにカットした細かいエピソードには、アルジャーノンなどのサブキャラ(クラスメイト含め)がメイン視点になる回や、大人キャラの人物関係についての回や、アレとかソレなどの謎についての回や、自主制作漫画『Black & White』のユーリが登場する回なんかを考えていました。後半出てきてやたらとしゃべってるフクロウのお医者さんも中盤で一度出しとく予定でした。本編で出し損ねましたが、彼の名前はティトといいます。
ジャッカには本当に感情移入してしまいました。描いてる内容に自分で感動してたとかではなくて、もうほとんど親心というか。
第4羽・5羽、最終羽のプレゼントを渡すあたりまでの流れは描いていて辛かったです。それに、自分はなんて残酷なんだろうとも思いました。
本当にあの終わり方でいいのかという葛藤もありました。前何作かがずっと暗い話ばかりだったので、ジャッカだけはどうしても救いたかったんです。
しかし、実際描き終えた時に「これでよかったんだな」と何故か思う事が出来たので、その後も何度も揺らぎましたが、その時の自分の感覚を信じる事にしています。
ツノウサギの後半を描いていて強く感じたのは笑顔の大事さでした。
ちょっと話も書いてる意味も本当は違うのですが、ある本で手塚治虫が書いていた一文を思い出しました。
「動物が笑ってくれる。動物の笑い。これこそ漫画なのである。」
ツノウサギは一気に全てを出来るだけ早く描ききらねばならなかったため、肉体的疲労よりも精神的重さがありました。そんな中救いになったものの一つが(既に書いていたあとがきにもありますが)様々な音楽・漫画・本・映画でした。
音楽は描いている間の精神安定剤でもテンションを上げる為のものでもありましたし、映画は休憩にもなったし刺激にもなりました。特に今年は豊作だったので。
中でもそれぞれ、音楽はヨンシー、映画はヒックとドラゴンが凄く僕の力になりました。
ヒックとドラゴンは最終羽下書きに入る直前に観たのですが、ヒックとトゥースの奮闘が、戦いが、自分の描きたい世界にダブったというか。特にメインテーマの曲が凄く良かったのです。
ジャッカのキーワードとして、“駆け出すと止まらない”というのが自分の中でありました。そのイメージを、ヒクドラのメインテーマが(勝手な話ですが 笑)僕の中でがっちり噛み合ったのです。
更に、ヒックとドラゴンのEDもまさにその感覚に満ちていました。
観賞中これはヤバイと思い、曲名をエンドロールでチェックして調べました。
で、それを歌っているのがヨンシーという、アイスランドのシガー・ロスというバンドのヴォーカルだったのです。
そのままヨンシーを調べてみたところ、同時期に彼はソロアルバムデビューを果たしていることを知りました。youtubeに公式と思われるものが上がっており、試聴してみるとそれまた(勝手な話がまた出ますよ)がっちりとイメージに噛みあうものだったのです。
今まで僕はツノウサギのイメージに合うBGMを探していました。ペンギン恐竜団と戦うシーンなんかは、例えばベタにレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかロックなのをBGMにかければ良かったのですが、全体のイメージとしてなかなか合うものが見つからなかったのです。
しかし、ヨンシーのソロデビューアルバム「GO」はまさに探していたそれでした。
ファンタジーと暖かいものと、不安や影が隣り合うアルバムだったのです。
『go do』 『animal arithmetic』 『boy lilikoi』 『around us』はジャッカの走り出すイメージであり、最終決戦に挑む彼のイメージに合い、
『(偶然な曲名ですが)tornado』 『sinking friendships』はジャッカたちに忍び寄る影のイメージそのものでした。
総括して、勝手ながら僕の中でツノウサギのイメージアルバムになってしまったんです 笑。
ヒックとドラゴンのサントラと一緒に即購入し、最終羽執筆中は文字通り毎日ずっと聴いてました。一日に何周したか分かりません。
そういう理由で、ヒックとドラゴン・ヨンシーにはとても感謝しています。心強い支えになりました。
公式っぽいので、ヨンシーのアルバム「GO」がフルで聴けるyoutubeの再生リストを載せて置きます。
(http://www.youtube.com/watch?v=c1WomtTi0wY&p=17153448DC50C5B7&index=1&playnext=8)
※ヨンシーは今月来日してライブをやるっぽいです。気になる!
一緒に遊んでくれた友人たち、そして既に漫画家として活躍されてる同期デビューのみなさんにも感謝しています。友達と遊ぶのは本当に楽しかったし、みんなの活躍は凄く良い刺激になりました。
と同時に、多くの遊びのお誘いを断ってしまった事をお詫びします。
これからも宜しくね。
今僕は定期的にツイッターにて検索してヒットした『ツノウサギ感想系ツイート』をRTしまくっています。(TLがごちゃごちゃしてしまって申し訳ありません)
僕がツイッターの機能を把握しきれていないので、漏れがあるかもしれず申し訳ないのですが、ヒットしたツイートは全て読ませいただいています。
発売後も不安のモヤがかかっておりましたが、それら皆さんのツイートや、友達からの感想メールを見て凄く安心し、どんどんすっきりしてきました。
色々ありましたが、今では本当に描き上げて良かったなと、純粋に思えています。
読んでくださった皆さん、本当にありがとう。
ただ、僕はそのまんま呆けていてはダメだね 笑。
頑張ります。
以上あとがきでした。
うだうだといつもどおりの長い駄文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
PR