血肉がほしくて血肉がほしくて
今宵も骸より禽獣とびたつ
いつまでいつまで と自らを嘆きながら
今週の妖怪絵札は前回とうって変わってマイナーな以津真天です。
食べ物に飢えているのを仲間に見捨てられ餓死し、そのまま野ざらしにされてしまった人の怨霊が変化したものが以津真天です。
その名前『以津真天』は、以津真天の鳴き声に由来します。
怪鳥となった怨霊は、自分を見捨てた者を探し、「いつまで いつまで」と鳴きながら付きまとうのだそうです。
「いつまで」というのは「いつまでも付きまとってやるぞ」というのと、「いつまで私を野ざらしにしておくのか」という嘆きの意味なのだそうです。その「いつまで いつまで」という鳴き声がそのまま転じて『以津真天(いつまでん)』という名前になったとか。
おんなじ死体が変じて怪鳥となるパターンとしては、陰摩羅鬼(おんもらき)などがあります。これは死体の気が変じた鳥で、目を光らせながら高い声で鳴くらしいです。
鳥に何か怨霊じみたイメージでもあったんですかね?それとも、その正体不明な鳴き声が霊的なものを感じさせたんでしょうか。
日本版キメラな有名な妖怪に鵺というのがいますが、元を辿るとそれは不吉な鳥のことで、その鳴き声は死者を呼び覚ますとして恐れられたらしいです(「鵺」には、正体不明の怪しいものという意味があります)。
鵺の歴史は古くて、古事記や万葉集にも記述があるとかどっかの本で読みました。以津真天や陰摩羅鬼の先輩ですね。
ちなみにこの以津真天は以前ここにアップした○年前に描いた漫画にも登場させてました。
なぜか団三郎(漫画で黒犬と戦ってたアレ)の部下でした。
(以下一部抜粋)
初登場(団三郎も苦笑も)。
普段は目隠しと錠とで封じてあります。これは長壁姫という大妖怪が以津真天に施したもので、団三郎の合言葉で封印が解けるようになってます。
君に決めたッ!(注:これは合言葉では御座いません)
どーん。解放されました。
で、まあ空飛べるので便利みたいな。
全然怨霊として描いてません。飯(生もの)のために戦うキャラでした。
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