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一応日記的なもの

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妖怪絵札復活二回目は有名どころ、白狐の葛ノ葉です。
因みにこの順番は課題の素材として描いた順番ですので特に意味はありません。


一時期陰陽師ブームというか安倍清明ブームがあったから、結構知ってる方は多いと思います。
また、元々由来の古い異類婚礼譚である「狐を嫁さんにもらう」の中で知名度が高いので、人形浄瑠璃とか色んな古典芸能の題材にもなってます。


有名なお話から紹介すると、安倍保名(ものによって微妙に名前が違うよ)が悪右衛門という男からある白い狐をかばって逃がしてやるのですがそれに際して保名は怪我を負ってしまいます。
恩を感じた狐は女に化けて葛ノ葉と名乗り保名を介抱してあげるのですが、まあお見舞いを繰り返すうちに仲良くなってしまいまして童子丸という子どもが出来るわけです。
しかし童子丸が5歳だかの時に、菊の花の美しさに見とれてる時に思わず尾が出てしまい、それを童子に観られてしまったがために、かの有名な


「恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」


という歌を残し消えてしまいます。書置きを見た保名は童子丸とともに和泉の信太の森にいき、再び再会しますが、(ここにはいくつかパターンがあって)水晶の玉と黄金の箱を渡され別れるのとか、そのままやっぱり会えないと葛の葉に付き返されてしまうのとかがあります。


童子丸は後の有名な陰陽師安倍清明です。よく昔はこういう一般市民から傑出した人物が出るとやれ狐の子だとかっていうお話がいちいち生まれたようです。
中にはただ単に嫁さんに逃げられた男が話を美化したのが始まりではという冷める話もありますが 笑、もしくは朝廷以外の人間を差別用語として狐とか人間ではない呼び方をしていて(事実大和朝廷に従わなかった人たちのことを土蜘蛛と呼んでたりしていたよ)、その一族との婚姻譚が元なんではっていう話もあります。


ちなみに冒頭の悪右衛門というやつは、かの清明のライバル陰陽師として名高い蘆屋道満(九字のドーマンは道満が元で、星型のセーマンは清明の桔梗印からきてます)の弟で、悪右衛門の妻の病気の治療に道満が狐の生肝が必要と占ったのがそもそもなのです。この辺の因縁深さは物語りならではですね。


ただ、清明も道満も一応実在した人物ではあるようですね(清明はなんとあの時代に85歳まで生きたといわれてます)。きっと思うにカリスマ性とマジシャン的素養など、優れた才能のあった人たちなんでしょう。僕も色々調べましたが、いちいちエピソードがとてもパフォーマンス的です。


話が逸れましたが、葛ノ葉狐はそういう狐さんです。
有名なので一部では稲荷寿司のことを信太寿司というところもあるんだそうですね。


異類婚礼譚の中でも狐のお話はとても古くて、西暦544年には既にその話が現れております。


美濃の国の出の男がある女性と結婚して子どもまでもうけるのですが実はその妻の正体は狐で、ある時犬に吠えられて(狐や狸や猫は犬が苦手です)驚き、狐の姿にになってまがきの上に逃れてしまいます。
しかし夫は優しく「既にオマエと私の間には子もいる中ではないか。戻ってきていつものように相寝よう(適当訳)。」と話しかけ、以後夜になると一匹の狐がきては夫の布団に入り、朝になると帰っていくという風になったことから、この生き物を『来つ寝』→キツネと呼ぶようになったというお話。やはりその息子は力が強く、走ると鳥が飛ぶように速かったとかいう話です。


他にも色々ある狐との婚礼譚ですが、多くは信太妻のパターンで、地名や人物の名前、狐の読む歌が違うくらいのバリエーションが沢山あります。
その中でちょっとパターンが違い、なんだか切ねえお話もあります。


古今著聞集というのの中の一篇です。
ある男が日の暮れた朱雀大路を歩いていると、えもいわれぬ美しい女と出会います。男はその女性に一目惚れをし、男は女に熱烈にプロポーズをするのですが、女は結ばれると必ず死んでしまうからと断り続けます。しかし男は諦められず、なおも熱心に口説いたのです。
女はやがて、「それではあなたの仰せに従うけれど、結局はあなたの身代わりになって死ぬのですから、私の心を憐れと思われるなら、法華経を書いて供養して下さい。」と言い、夜もすがら語り合い愛し合ったのでした。
その夜明け方、女は男に扇を乞い、あした武徳殿に言って御覧なさいと言い去ってしまう。言われたとおりに男は武徳殿に行ってみると、一匹の狐が男が女に渡した扇で顔を覆って死んでいたのでした。
男はあわれに悲しく思い、七日毎に法華経を書いて供養したところ、ある夜夢に女が天女たちに囲まれて現れ、「我、一乗の力によって、今トウリ天(漢字が僕のパソ変換できね)生まるるなり。」といって去ったというお話。

悲しいなあ。とてもウエットでしみじみあわれなお話です。


狐婚礼譚は中国の方にも沢山あって、『聊斎志異』という中国の古い怪奇短編小説を昔読んだことがあるのですが、9割がたは狐さんと結婚してどうたらこうたらのお話です 笑。


そんなこんなで色々調べるうちに僕の中では狐には女性的イメージが強くなって、キャラクター作る時はほとんど毎回そういうことになります。
実際、イギリスとかヨーロッパ圏では偽善の紳士、策略家のイメージが強いですけど、例のように日本、中国、その近辺、またロシア、ウクライナでも狐は女性イメージが強いみたいです(ロシアの日用品に付いてるイラストの狐さんは大概スカート穿いてます。ウクライナ民話には、悪役でもそうでなくてもほぼ確実にメスとして登場します)。また英語で(特にアメリカ圏で)性的魅力のある女性を、セクシーと同じニュアンスでfoxyと言ったりするそうです。勿論いい意味ばっかじゃなくて、「あの女狐め!!」みたいな言い回しでvixen(英語でメスの狐)とか悪口ニュアンスで言ったりもするみたいですけど。


また話が逸れましたね。妖怪としての狐ですが、日本においては善狐(ゼンコ)と野狐(ヤコ)というのがいるらしく、ようは良い子と悪い子の種類がいるんだそうですね。
善狐には色々と階級というか種類というかがあるのですが、それについての詳しくはまた次の機会に。(長くなりそうだから 笑)

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