いやー面白かった。凄く好みの映画でした。
何となく、前半に設定の説明くささを感じてしまう人もいそうですが、元々自分がいわゆる『設定モノ』好きであったので全く苦でなかったです。
あ、既に公開から大分経ったので、ダークナイトの感想の時と同じくシンプルに行きますよ。長いけど。
用語。『設定モノ』に付き物のあれですが、インセプションの用語はシンプルで、物質感あふれる映像と雰囲気にマッチしたしたものがあってよかったです。トーテムとか、キックとか、まんまですけどアーキテクトだのといった夢潜入メンバーの役職名とかね!
もう完全に個人的な趣味の領域だけど、『潜在意識の武装化』とか、字幕を目で追ってるだけでテンション上がっちまいます。ひゅう!
元々この手の夢だの精神的なお話が大好きな友人がおるので、その友達と普段それをネタに話したりするのは結構機会があったので、多少興味と知識と、自分なりの解釈があった領域だっただけに、インセプションの『設定解説パート』は興味深かったし共感したし面白かったのです。
とはいえ、『設定解説パート』なんて言ってみせましたが、そういう王道なストーリーの組み立てでありながらも、この映画は全体を通して、エンディングをぶれずに目指している映画であって、全ての要素が同時進行、全てが収斂へ向かっての展開という構成になっていると思います。
これはダークナイトの時もそうだったんですが、インセプションも、ラストで更にぐーーんと評価が上がる映画ですよね。いや、ある意味当たり前っちゃ当たり前ですが、インセプションはそれがかなり意識されて作られてるんじゃないかなと勝手に思いました。
設定が演出を作り、設定がクライマックスをこれ以上ないくらいに盛り上げる。
ホントによく出来てると思いました。ロバートが金庫から風車を出すシーン、コブがモルとの真実を語るシーン、皆が落下していくシーンとたたみかけるところがホント凄かった。テンションは最高潮だし、物凄い悲哀と、なんとも言いがたい感動が一気に雪崩れ込んできて、正直よく分からないけど僕は涙が出ました。
単に、過去にコブとモルに見舞った悲劇が悲しすぎるのも、ロバートの父との確執の和解表現が感動的だったというのも勿論ありました。けれども、それ以上にそれを盛り上げる設定と音楽とがあって、押し寄せるものが凄かったです。この辺のインパクトというか感動というかのデカさは、やはり初めての観賞がMAXなので、僕がベストコンディションでインセプションに望めとオススメしたのはホントそこです 笑。
僕も初見はいい塩梅に集中出来て、前述の通り凄くいい感動を戴きました。まあ、涙が出るかどうかは個人差があると思いますが 笑。
俳優の皆さん。良かったですね。相変わらずレオ様は演技派でごじます。いい具合に老けてなかなかカッコ良かった。
設定上、夢が階層構造になり、それぞれの層に一人残らなければならないというのも良かったですね。それぞれのメンバー一人一人にアクションの見せ所ができて!
イームスもいい感じにコンバットなアクションだったし、ユスフも地味ながらなかなかのカーチェイスで魅せてくれましたね。
しかしなんといっても第二層でのアーサーであるよ。すげーカッコ良かったなあ。
重力方向が変わりまくっても無重力状態になっても動じず、慣れた運びで宣言どおり「遊んでやるさ」な殺陣っぷりとプロフェッショナルな仕事っぷり。
イームスもユスフも相当なプロフェッショナルっぷりでしたが、なんというかアーサーの優雅ですらあるアクションに惚れた人は多そうだ。
しかも基本的にクールポジションなキャラではあるけども、ちゃんとコミカルなシーンもあったりしていいキャラだったね。というか真面目なキャラ故にか、なんんとなくいじられるシーンも多かったというか 笑。なんとなく日本人ウケのよさそうなカッコイイキャラクターだなと思いました。この俳優さん人気出そうだ。コブの長年の相棒っていう以上の役回りはそこまでないにも関わらず、存在感が凄かった。
アリアドネと我等観客に向けてフォロー解説を丁寧にいちいち入れてくれるのもアーサーのよいところです 笑
因みにアクションといえば、地味にコブのもカッコ良かったですね。冒頭のサイトーから情報を奪おうと暗躍してる時の、警備をサイレンサー付きの銃でさっと撃って、さっと駆け寄って人の倒れる音と声を押さえに行くとことか。プロっぽくてね。あと、第二層でのチャールズ作戦で、ロバートをトイレに誘導し、警備二人を鮮やかにお始末するとことか。
ロバートも良かったね。金庫から風車を取り出した時のあの表情!まさかスケアクロウに泣かされるとは…笑。
変な役以外もノーラン監督にもらえて良かったね。この人も結構評価されそうだね。
アリアドネはその可愛いお顔に反してかなり知的かつ、コブにとってある種教師というか、指導者のような存在でしたね。コブを潜在意識の迷宮から救い出した大きな一因の一つはアリアドネの導きだったと思います。XMENファイナルディシジョンの口半開きなキティの印象とのギャップが意外でした 笑。
設定の細かい展開のフォローも主にアリアドネがやってくれましたね。「誰の夢に入るの?」とかちょいちょいと。
そいやこの子はジュノでも主演はってアカデミー賞もノミネートされてたなあ。ジュノは観てないけど。
あとなんか新鮮だなーと思ったのが、サイトーが他のメンバーと冗談言ったり、コミカルな面が描かれたりするところ。あんまりそういう日本人キャラって、ハリウッド映画に今まで出てこない気がしたから。ケン・ワタナベがハリウッドに馴染んでいるという事か…!
ビジュアルもカッコ良かったよね。ノーラン監督はビルとか建物をカッコ良く撮りなさる。エッシャー好きな僕には美味しいビジュアルも盛りだくさんでえがった。
音楽も相変わらずカッコ良かった。作曲はいつものハンス・ジマー。
ダークナイトを映画館で見逃した事について特に悔しかったのがあの音楽を映画館で味わえなかった事だったので、今回はそれを堪能出来たので良かった。
しかも、なんていうか細かい解説が出来るほどは読み解けなかったのですが、インセプションは更に使い方が良かったです。単純にカッコイイってのもありましたけど。
特に不思議だったのが、例のキックの合図に使う曲(不勉強ゆえタイトル知らない)が、劇中に何度も出てくる、重低音が印象的な曲(確かOPでまず流れたかな?)に、溶け込むように流れ込んでいくところ。
あんまり文章が得意でないので巧く書き表せないのですが、あの演出はとてつもない計算されたものを感じました。
単純に全体的に音楽がカッコ良かった訳ですが、前述の『ロバートの風車』辺りの一連の流れのがカッコ良さは半端じゃなかったですね。
因みに映画館で観るまで、僕は腐るほどトレーラーを観まくり、その時点でトレーラーに使われてる曲がカッコ良過ぎて期待しまくりだった訳ですが、実は観る直前に、トレーラーの曲はハンス・ジマー作曲じゃないという情報が耳に入り、あーじゃあこの曲は本編では聴けないのかーと思ってたのです。
でもまあサイトで使われてる曲は相変わらずカッコイイし、まだまだ期待できるな!と、観るまで思ってたのです。
で、観てみたら、確かにトレーラーの曲自体は本編で全く使われないのですが、このトレーラーの曲は実は、本編中の音楽を巧い具合に編集、継ぎ足しした曲で(音楽全然知識がないのでこの説明であってるか心配だ)、まさにその聴けないと思ってた曲の根幹を成すメロディが、『ロバートの風車』辺りの、夢の中でのクライマックスで使われてたんですね。
正直本編中に聴けると思ってなかったので、かかった瞬間僕のテンションは上がりまくりですよ。
コブとアリアドネが第4層に来た時も、この曲の一部が流れたので、「あれ…?この曲は…!?」と思ってたら一番盛り上がるシーンでフルでくるんだもんなー!
なのであのシーンは本当に全演出と、俳優さんたちの全演技が僕に怒涛の勢いでぶつかりましてね。訳も分からず涙が出たのです。
因みに半月後に二回目も観に行ってるわけですが、やはりあの感動は初見限定のものでした 笑。
でもそういうものですよね。ファーストコンタクトは何事も大事です。噛めば噛むほどいい味が出るタイプも勿論ありますけどね。
因みにこれがそのトレーラーの曲で
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これがその本編中の曲です。
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ラストの飛行機からの流れもいいですよね。
台詞が全く必要のないラスト。
機内で目覚めた皆の表情。サイトウがおもむろに電話を一本入れるシーンの安堵感。
いやーカッコイイ。
空港でロバートがコブとすれ違った時に、「…あれ?」って顔をするのもいいですね 笑。
多分、最後のトーテムの演出に関しては、かなり深読みしてる人も多いんじゃないでしょうか。凄く気持ちが分かります。
でも個人的にはやはりコブは帰って来れたと思ってます。思いたいというか。
機内で目覚めた彼らのシーンの安堵感を信じてます。
この辺はもしかしたら、観る人の心を投影する部分になるのかもしれませんね。もしかしたら皆さんも僕と同じで満場一致のハッピーエンド感想かもしれませんが 笑。
もしそうでないとしたら、このインセプションという映画は、
ノーラン監督が設計し、仲間のチームと共に作り上げた、
ターゲット(観賞側)の潜在意識を投影する夢の迷宮だったのかもしれませんね。
…これは一度目の観賞では気付かず、二回目で気付いた…というか、あれ?どうだったっけ…と思った事なのですが、
ひょっとして最後に遂に対面するコブの子ども達の服装、今までの記憶の中の子ども達と違う服装でした?
正直超微妙なところで、違ったような、同じなような…
僕の記憶が凄いおぼろげで、もし服装が違ったとしてもたぶんかなり似た服を着てるんじゃないかと思うのですが…
それがどうした?って話ですが、もし服装が変ってたとしたら、それはもうコブの記憶の投影ではないという事になって、
コブの現実への帰還を意味する事になるんじゃないかと…もし変ってなかったとしたら…
…まあ、深読みし過ぎかもしれないです 笑。
ちょっとこの辺はBDでも購入してチェキるしかありません。
んー。ノーランくんはすげえのう…着実にクオリティを上げてる気がする。
インセプションでこんなにも素晴らしい仕上がりを見せてくれた訳だけど、
なんだかまだまだのびしろを感じさせるんですよね。 あれ?何様だ自分!
さてさて最後に一つ。
このインセプションの事はティザーサイトの頃から見守っていました。
普段そんなにこまめに情報集めてるわけじゃないので本当に偶々でした。
当時はとりあえずティザーサイトを観て、
うおー楽しみだなー今度こそ映画館で観るぞーとか思ってただけなのですが、
本編を見終えてみると、ああ、そういうことだったのか、と独りで浸ってしまいました。
ティザーサイトは、コブのトーテム,
…厳密にはモルのトーテムだったコマが延々を回り続けているというものだったのです。
カーソルを動かすと、それに合わせてコマが回りながら左右について来るというものだったんです。
僕は映画を観終えた直後、
「ああ、あの延々と回り続けるコマはモルだったんだな。」と思ったのです。
完全に僕がそう感じただけなのでこれは別に正解でも何でもない僕の空想ですが、
僕はそう感じずにはおれませんでした。
なんだかまだ書き漏らしてる部分が沢山ある気がしますが、
とりあえず感想は以上です。
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